電気ビル物語Vol.21 開館記念の絵葉書Ⅲ

日満博覧会開催に合わせて電気ビルが建設されたのは以前にも触れましたが、日満博を機会に富山市を訪れる人たちのために、博覧会事務局が遊覧バスを走らせていました。
その、バス発車前のバスガイドの一声が次のようであったそうです。

電気ビル50年史によりますと、『ご案内いたします右手の洋館は富山電気ビルデイングと申しまして地下室共6階でございます。4階がホテル、食堂、社交倶楽部、娯楽室、洋間のほかに日本間の設備がございます。5階がステージ大ホール、椅子定員800人でございましてご集会、ご宴会すべてが最新式でご便利に皆様のご利用を待っております。では参ります。(日満産業大博覧会誌)』

『すべてが最新式』の5階大ホールはオープン時には映写設備も完備で、まさにワンストップサービスなビルでありました。
ステージの中央には戦時中に焼失したとされる帆かけ船の緞帳が写っています。なぜ帆かけ船の緞帳かは知る由もありませんが、付き出したバルコニーが甲板デッキであったり屋上の塔屋がマストだったりと、当ビルが船をイメージした建築物であったからでしょうか。

また、左に写っていますのは当時5階にあった喫茶室です。
バックの桜のデザインがオープン時に開花していたことを想像させます。

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