電気ビル物語Vol.14 電気ビル社章について
これも良くお問い合わせがありますいわゆる電気ビルマークの由来ですが、このことに関する記録がありましたので、披露したいと思います。
「社章の制定」
昭和11年2月1日、日本海電気、黒部川電力、小松電気の社員を対象に、富山電気ビルの社章図案について懸賞募集が行われた。511点の応募総数の中から日本海電気土木課の広野政行が当選し、これを原案として山田社長と専門家の意見が加味され作られたものが現在の社章である。
社章に採用された広野は次のように語った。
「社章の応募が締め切られて2,3日たってから、山田社長に呼ばれて社長室に行った。社長からは〝君の図案が気に入ったが、どういう構想で書いたのか〟と聞かれたので、電気をモチーフとして図案化したと答えた。始めは、雄蕊のTの―が横に真直ぐにしていたが、社長はTを丸くした。また、花びらの先端は左右間が空いていたが、これは今から開花することを意味すると説明したところ、原案通りに開けることに決まった。なお、本館の竣工式にこのシンボルマークをつけた芸妓が宴席に顔を見せた」
社章の趣旨は、電気の稲妻を2本丸くして、全体を花の形になぞらえ、先端はわずかに開き、中央には頭文字のTを花の芯に見立てて配してある。今にも開花しそうな蕾は将来の成長発展を内に秘めたものといえよう。