電気ビル物語Vol.26 開館記念の絵葉書Ⅷ

絵葉書は1階にあった日本海電気の営業場と応接室を写しています。
太い円柱と下がった梁は大聖堂などのゴシック建築を思わせます。今日では珍しくないオフィス風景にしか見えませんが、昭和11年当時では最新で類をみないスケールの建物、内装設備だったことが窺い知れます。
日本海電気は、富山・石川両県を供給区域とする北陸最大の電気事業会社で、着実に業容拡大がなされていました。それにもかかわらず、富山市星井町にあった本社社屋は明治36年に建てられた前身の富山電燈時代のもので手狭となっていました。

当時、廃川地は埋め立てが終わったものの売却が進まず、都市計画事業が一向に進んでいませんでした。こうした中、日本海電気の山田昌作社長は廃川地が富山市の中心となることを見越し、さきがけとなり本社移転を決断いたしました。この決断が、新県庁舎と並んで廃川地の都市計画事業に大きく弾みをつけました。
社名が北陸電力に変わり、富山駅北に本社自社ビルが建設され、引っ越しましたが、電気ビルは現在もテナントという新しい『 住人 』を迎え入れ、県庁舎とともに当時のままその存在感を示しています。

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